とある法務部員の備忘録

IT企業で法務をやっている独身アラサー。法務系のネタ、英語、雑記、ブログ運営などについて自由気ままに書き綴っています。

書籍レビュー(4)「会社法(田中亘)」

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書籍レビュー_会社法_田中亘

 今回ご紹介させて頂く書籍は、田中亘先生著の「会社法」

 ビジネスロージャーナル2月号で紹介されており、気になったので購入してちょっと読んでみました。今日はその感想を書きたいと思います。

 

 まず、田中先生が執筆に携わっている「リーガルクエスト会社法」と比べてどうなのかと言いますと、こちらの方が圧倒的に詳しいです(全部で750ページほど)。途中に挟まれるコラムや図表データなどは実務に携わる身としては有難いの一言。変な独自説も見当たらず、仮にあったとしてもリークエで会社法を学んだ人であれば、すんなり腑に落ちると思います。

 

 個人的に、本著の構成で面白いと思ったのは、大抵の会社法の基本書において、冒頭に書かれることの多い「設立」に関する章を、株式や機関、資金調達などを説明したあとに書いている点。そのあとに、買収などの再編の章が続くのですが、これは「なるほど」と感心させられました。

 たしかに、会社という生き物を時系列で追うならば、①設立→②株式や機関などの設立中の問題→③買収、再編→④解散、清算結了という順となります。しかし、設立手続は、会社という「箱」を作る作業であり、この「箱」を他の箱とくっつけたり、他の箱の中に入れたり、2つに分けたりといった買収、再編の問題と親和性があり、むしろ冒頭部分で説明するよりも、買収、再編の章と続けて説明する方がより理解が深まる分野だと思います。

(これに対して、株式や機関といった分野は、「箱」の中身をどのように充実させるか、「箱」をどのように維持するかという問題です)

 

 また、江頭先生の会社法と比べても、辞書的な役割としては、こちらの方が読みやすいですし、より実務的な内容となっています。

 

まとめ

 以上をまとめますと、リークエ会社法と江頭先生の会社法のそれぞれに不足していた部分(前者は詳しさ、後者は読みやすさ・実務的視点)を、見事に補ったという印象です。実務に携わる人はもちろんのこと、司法試験受験生に対しても、「この本を読んどけば間違いない」と太鼓判を押せます。

※ 以前別の記事で、会社法についてはリークエ会社法を読んでいると書きましたが、しばらく本著を使用すると思います。

 

 会社法基本書の決定版となるか?と問われれば、現時点では「なる」と答えますね(*'ω'*)