とある法務部員の備忘録

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英文契約における但書き(proviso)の表現方法

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英文契約_proviso

 日本語の契約書でも、ずらずらと原則を述べたあと、「但し」と前置きしてから、例外を書いていることがありますよね。「Aの場合は、Bとする。但し、Cの場合はこの限りではない。」といった具合に。法律の条文でも、例外を定める場合はこのような書き方が一般的であり、「但書き」と呼ばれています。英語では「proviso」と言います。

 

 英文契約でも、このような但書きが登場するのですが、一瞬思い浮かべるのは、「but」じゃないでしょうか(私だけですか?w)。

 例えば、「I love baseball, but I haven’t played it in a while.(私は野球が好きですが、しばらくしていませんでした)」というように、最初に述べたことを否定したり、打ち消すような文が続く場合に「but」が用いられます。一見すると、「但し」と表現したい場合、「but」でも良いような気がします(私だけですか?w)。

 しかし、「but」は、「しかし」「でも」「けど」という意味であり、前後の文が矛盾していたり、非両立の場合にのみだけ使われるわけではなく、一定の条件や例外を示している但書きにおいて、「but」を使用することは必ずしも適切ではないのです。

※ 実際、「但し」を「but」と表現している契約書は見たことがありません。

 

 「but」と似たようなワードとして、「however」があります。日常会話ではあまり使われないようですが、2つの異なる事柄を対比する場合に用いられるらしく、討論の場ではよく使用されています。んで、やはりと言いますか、英文契約書において、「however」も見かけることがあります。

 例えば、「The Company acknowledges that Client is entitled to terminate this agreement in the event Client has good cause to believe that the Company do not comply with guidelines of service. However, Client must promptly inform and provide a written notification to the Company about such termination together with specific reasons of the termination.」

(当該会社がサービスガイドラインを遵守していないとクライアントが信じる正当な理由のある場合、当該会社は、クライアントが本契約を解除することができることを認識する。但し、クライアントは、解除理由を明記したうえで、直ちに契約を解除する旨を当該会社に通知しなければならない。)

 

 といった感じです。

 

もっと契約書っぽい言い方

 上記「however」も使われていますが、もっと使われているのは、「provided that」とか「provided, however, that」といった表現です。that以下が前提条件や例外となっており、「但し、~の場合は例外とする。」「但し、~を前提とする。」という意味になります(※)。例外であることを強調したい場合は、「however」を入れることが多いようですね。

(なお、「provided」は、ifの強調形であり、英文契約に限らず、日常会話でも用いられています)

 

 例えば、「Any rights and obligations hereunder shall not be assigned without the prior written approval of the other party; provided, however, that either party may assign this agreement to an acquirer of all or substantially all of such party’s assets, whether by merger, operation of law or otherwise, without the other party’s prior written approval. 」

(本契約の下での一切の権利及び義務は、他方当事者の書面による事前の同意なくして譲渡してはならない。但し、いずれの当事者も、他方当事者の書面による事前の同意なくして、本契約を当該当事者の資産の全部又は実質的に全部を合併、法律の運用等の手段で取得した者に対して譲渡することができる。)

 

 といった感じでしょうか。

 

(※)ただし、条件節として「provided that」を使用する場合、接続節は現在形となり、will、must、shallなどの助動詞を入れなければならない純粋な意味での「但書き」とは異なるという指摘もあります。

参考:ネイティブも誤るproviso(ただし書き) - 冨田敬士の翻訳ノート

 

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