とある法務部員の備忘録

IT企業で法務をやっている独身アラサー。法務系のネタ、英語、雑記、ブログ運営などについて自由気ままに書き綴っています。

契約審査(5)接続詞や読点の使い方・表記にまつわる話

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契約審査_接続詞・読点・表記

 契約書には、「及び」「又は」「並びに」「若しくは」「かつ」など、細かい使い分けを要求される接続詞が頻出します。こういう接続詞の正しい使い分けは、法務1年目に徹底して叩き込まれます。もし間違って使用してしまうと、文の意味自体が変わってしまいますし、取引先から「接続詞の正しい使い分けも出来ねえのか」と思われかねません。

 これら接続詞の正しい使い方につきましては、他にも参考となる書籍やサイトがたくさんありますので、本記事では立ち入らず、その代わりに、個人的に気になっている点をいくつか書いてみたいと思います。

 

 

① 読点の位置並びに名詞句及び動詞句

 「及び」や「又は」という接続詞の使い方は正しいものの、読点の位置や名詞句・動詞句がごちゃごちゃになっている契約書をよく目にします。例えば、次のような文章です(適当に考えた文章なので、意味は深く考えないでください)。

 

「〇〇〇の場合、甲は、乙に対して、書面を送付するか又は電子メールを送信することによって、△△△の旨を通知するものとし、乙は、甲から当該通知を受領するまでの間、本契約の全部又は一部の解除、及び代金支払の留保をなしうる。」

 

 上記の文章でも意味は分かるため、私は、先方から上のような文章を示されても、よっぽど意味が複雑で分かりづらいものでもない限り修正はしません。ただ、読点「、」の位置と、名詞句・動詞句の使い方としては適切ではないと言いますか、文章としてごちゃごちゃのように感じます。

 まず、読点のルールとして、名詞句(又は名詞単体)を接続する場合は、最後の読点は付けず、動詞句を接続する場合は、最後の読点を付けるのが普通です(ただし、2つの文章を『かつ』を用いて接続する場合、前後に読点が入ります)。分かりやすく言うと、以下のような感じです。

 

【名詞句】

〇 書面、FAX又は電子メール

✖ 書面、FAX、又は電子メール

 

【動詞句】

〇 書面を送付し、又は電子メールを送信する。

✖ 書面を送付し又は電子メールを送信する。

 

 では、名詞句と動詞句を接続する場合はどうするのかという疑問もありますが、私は、「どちらかに統一しろ」と教わりました。確かに、名詞句なら名詞句、動詞句なら動詞句のどちらかに統一した方が、文章としても綺麗ですし、読みやすいと思いますね。

 

 このルールに則って考えますと、「書面を送付するか又は電子メールを送信することによって」という一文は、動詞句を接続しているにもかかわらず読点が付いていませんし、「本契約の全部又は一部の解除、及び代金支払の留保をなしうる」という一文は、名詞句を接続しているにもかかわらず読点が付いている点において、何だか違和感を覚える文章なんです。

 

② 漢字又は仮名

 もうひとつ気になるのは漢字と仮名の使い分けです。

 内閣法制局が定めた「法令における漢字使用等について」(昭和 56 年 10 月)によりますと、「かつ」「したがって」「ただし」「また」は、常用漢字表にあるものであっても仮名で表記するものとされています。そのため、「且つ」「従って」「但し」「又」とは書きません。他方、「及び」「並びに」「又は」「若しくは」は漢字で表記するものとされています。「なんでだよw」とツッコみたくなるんですけど、何故かそう決まっているんです。

 

 んで、提示された契約書に「但し」とか「又」と書かれていたりしても、私は修正しません。確かに使い方は正しくないんですけど、別に法的意味が変わるわけでもないし、そんな細かいところに修正を入れるメリットを感じないからです。

 ちなみに、自分が間違えることはないかと言われますと、決してそんなことはなく、ついつい「但し」とか、「従って」と書いてしまうことがあるんですね(当ブログでも、しょっちゅう『但し』とか書いていますが、法令文書ではないのでご勘弁を…w)。すると、場合によっては先方から修正が入ることもあり、「あ、そうか」と気づかされるんですが、「及び」「又は」という表記も全て「および」「または」と仮名表記に修正されていたりして、

 

分かります。ややこしいですよね。。(;^ω^)

 

 という気持ちになります(笑)。法務あるあるですね。

 

さいごに

 大切なルールなので、知識としては絶対必要ですが、接続詞の使い方が完全に間違っていない限り(意味が異なってしまわない限り)、読点の位置が多少間違っていたり、漢字・仮名表記が間違っていても、「読みづらかったりするけど、まあ、いいんじゃないか」というのが本音です。

 こういう法令文書の表記方法って、文章の体裁面を統一するための見栄えの問題と言いますか、官僚が決めたお約束事みたいなものなんで、当事者間で理解できるなら、「また」を「又」と書いたところで大した問題ではありません。

 

 ただし、自分が書いている同じ文章の中で、「ただし」と書いている部分があったり、「但し」と書いている部分があったりすると、「統一感がない文章だな」と思われますし、あまりにルールからかけ離れた表記をしていると、「これ、素人が作った文章だな」と思われるので、出来る限りルールに則って書くべきだとは思います。