とある法務部員の備忘録

IT企業で法務をやっている独身アラサー。法務系のネタ、英語、雑記、ブログ運営などについて自由気ままに書き綴っています。

英文契約の頻出表現まとめ

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英文契約_頻出表現

 今回は、英文契約の頻出表現をいくつか紹介したいと思います(別の機会に、頻出単語・用語も書いてみます)。

 ただ、頻出とは言っても、筆者がよく見かける…という類のものですので、業界や契約の種類によっても違うでしょうし、締結先企業の国によっても違うと思います。その点は、何卒ご容赦ください。

 

 

「~に従って(~によって)」「~に基づいて」

 例えば、「本契約に従って」「第5条の約定に従って」というように、「~に従って」と表現する場合、in accordance with~ とか according to~ などと表現します。例えば以下のようなものです。

 

This Agreement shall be exclusively governed and construed in accordance with the laws of Japan.

(本契約は、専ら日本法に従って解釈及び適用されるものとする)

 

 似たような表現として、他にも、persuant to~as per~ があり、この表現を紹介されている方も多いです。あくまでも個人的な印象になってしまいますが、登場回数で言ったら in accordance with などの方が多いかな…という印象です。

 ちなみに、according to を「~によれば」という意味で覚えている方もいらっしゃると思いますが(TOEICなどでは、「~によれば」という意味で使用されることがほとんど)、契約書では、上記の意味で使用されることが多いです。

 

 もうひとつ。日本語の契約書では「~に基づいて」という表現がよく使われ、英語では based on~ と表現しますが、あまり使われている印象はありません。どちらかと言うと、「~を基にして」「~を基礎として」という意味合いが強く(加工前の素材を指すような感じですかね)、The sales volume shall be calculated based on information provided by seller.(販売量は、販売者から提供された情報を基にして計算されるものとする)といった表現なら全然あり得ます。

 日本語での「本契約に基づく」という表現は、based on this Agreement とは言わず、in accordance with this Agreement(本契約に従って)と言うか、under this Agreement(本契約の下で)と表現する方がしっくりする気がします(※)。

(※)hereunderでも同義。

 

「~の場合は」「~のときは」

 「~の場合は」という仮定条件を規定する場合、in the event that~in the event of~in case where~、といった表現を使用します。例えば以下のようなものです。

 

Either Party may terminate this Agreement in the event of a material breach of this Agreement by the other Party, which breach has not been cured within thirty (30) days of the notice from the non-breaching Party.

(各当事者は、他方当事者による重大な契約違反があった場合は、非違反当事者から是正勧告があった日から30日を過ぎても違反状態が是正されなかったときに、本契約を解除することができる)

 

 なお、これらの表現は、「~の場合に備えて」「~するといけないから」という意味合いが含まれ、「こういうケースには気を付けてね」と注意を呼び掛けるニュアンスがあると言われています。もし、そういうニュアンスを含ませたくない場合は、when節などを使った方が良いと思います。

 

「~を除く」「~を含む」

 「~を除く」「~を除外して」と言う場合、except as~except for~excepting~excluding~ などを使います。save to~save for~ といった表現も見かけますが、圧倒的にexceptの方が多い気がします。他方、「~を含む」は、including です。まあ、ここまでは一般的な表現なので、何となく分かります。

 

 これに関連して、「~を含むが、これに限られない」という表現があります。日本語の契約書でも、「A、B、C及びDを含むが、これらに限られない」というように、A~Dはあくまでも例示列挙であって、これに限定する趣旨ではない(限定列挙ではない)という点を強調・確認したいときに使用しますね。

 英文契約では、including, without limitation~including, but not limited to~ と表現します(※)。例えば以下のようなものです。

 

"Personal Data" shall mean any personally identifiable data including but not limited to name, email address, or IP address.

(Personal Dataとは、個人的な身元識別情報を意味し、氏名、Eメールアドレス又はIPアドレスを含むがこれらに限定されない

 

(※)illustration (and not by way of limitation) と言ったりもします。

 

「~に関して」「~について」

 「~に関して」「~について」と、何かに言及したい場合、表現方法は結構色々あります。with regard to~in regard of~regarding~with respect to~in respect of~ などと表現したり、in connection with~in relation to~ と表現したりします。

 他にも、既出の話題に言及するときは、as for~as to~ と言ったりしますし、pertaining to~ というあまり聞きなれない表現もあります。「どれを使ったらいいの?」って感じなんですが、頻出度で言いますと、with regard to~、regarding~、with respect to~、in connection with~あたりが多いような気がします。

 

「以下(下記)の」「以上(上記)の」

 日本語の契約書の場合、「以下の各号に定めるとおり」として、そのあとに細かい条件を規定することがありますが、as follow とか following と表現することが多いです。set forth below というように、below を使うこともあります。

 

The obligations of each party under this Agreement to defend, indemnify and hold harmless the other party and its respective directors, officers, employees, agents, and representatives shall be subject to the following: (a)……; (b)……

(本契約の下で各当事者が負う、他方の当事者及びその取締役、役員、従業員、代理人及び代表者を防御、補償及び免責する義務は、以下を前提条件とする。(a)…; (b)…)

 

 他方、「上述の」とか「上記の」という表現は、foregoing ですかね。aforementioned、said above、aforesaid、mentioned above などと表現することもありますが、あまり見かけません。圧倒的に foregoing が使われていると思います。

 なお、英文契約はただでさえややこしいので、「上述の」とはなるべく言わない方が良いと思います。色々な義務規定を定めたあと、いきなり the foregoing obligations とか言われると、「どの義務のことを言っているんだよ?」と激しく混乱します(;´・ω・)

 

「~にかかわらず」

 「~にかかわらず」という表現は、regardless ofneverthelessnonethelessdespitenotwithstanding などを使います。

 例えば、「上述にかかわらず」「前述にかかわらず」と言いたい場合、notwithstanding the foregoing(前述にかかわらず)、notwithstanding the above(上述にかかわらず) などと表現したりします(※)。「~の規定にかかわらず」であれば、notwithstanding the provision of~ です。notwithstandingというワード自体が馴染みの薄いものなので、ピンとこないかもしれないですが、めちゃくちゃ頻出の表現なので、これごと覚えていると便利です。

(※)the foregoing notwithstanding と言うこともできます。

 

Notwithstanding the foregoing, Article 7 shall survive termination or expiration of this Agreement for any reason.

前述にかかわらず、本契約がいかなる理由で終了し、又は解除された場合であっても、第7条の規定は、なお有効なものとして存続する)

 

「~に従うことを(前提)条件として」

 subject to~ と表現します。「~に従って」と訳することもできるので、上記でご紹介した in accordance with~ などと類似の表現ですが、subject to は、前提条件という意味合いが強く、「その条件が成就しない限り、効果が生じない」というような意味で使用されます。

 

Subject to the terms and conditions of this Agreement, AAA hereby grants to BBB a limited, non-exclusive, non-transferable, paid-up, royalty-free license.

(本契約の諸条件に従うことを条件として、AAAは本契約に従って、限定的、非排他的、譲渡不可、支払済み、著作権使用料無料の使用許諾をBBBに付与するものとする)

 

「~の範囲内で」

 「法によって許容されている範囲内で」や「本契約の目的遂行に必要な範囲内で」というように、許容範囲を制限したいときは、to the extent~ という表現を使います。例えば、to the extent permitted by law(法によって許容されている範囲内で)とか、to the extent necessary for the purposes of this Agreement(本契約の目的遂行のために必要な範囲内で)といった感じです。

 ちなみに、「~の範囲に限り」と、範囲を限定する意図を強めたいのであれば、only to the extent to~ というように表現します。

 

「~とみなす」

 「~とみなす」という表現については、be regard to~be considered to~shall be deemed to~ などと表現します。deem を使うことが多いかな…という印象です。

 

The parties to this Agreement are independent contractors and nothing in this Agreement contained shall be deemed to create a joint venture or partnership between the parties in this Agreement.

(本契約の当事者は、独立した契約者であり、本契約の内容は、一切両当事者間における合弁会社又はパートナーシップを創設するものとはみなされないものとする)

 

「別段の~ない限り」「別段の~を除く」

 「別段の意思表示のない限り」や「本契約に別段の定めがある場合を除く」など、「別段の~ない限り」「別段の~を除く」と言いたい場合は、unless otherwise とか except as otherwise などと表現します。otherwise は「別段の」とか「別様の」といった意味であり、「~でない限り」という意味の unless や、「~を除く」という意味の except as とくっつけることによって、そのような意味を成します。

except as otherwise provided herein:本契約に別段の定めがある場合を除く

unless otherwise agreed in herewith:本契約で別段の合意のない限り

 

「~の如何(有無)を問わず」

 「書面・口頭の如何を問わず」とか、「事前の合意の有無を問わず」といった「~を問わず」という表現は、whether を使います。例えば、whether it is intangible form は、「有形無形を問わず」という意味です(※)

 他によく見かけるのは、 whether or not という表現です。例えば、whether or not the applicable party was advised of the possibility of such loss or damages.(当該損失又は損害の可能性を該当の当事者が知らされていたか否かを問わず)といった表現の仕方をします。

(※)regardless of whether というように、regardless of(~にかかわらず)をくっつけて表現することもあります。

 

英文契約の表現方法あれこれ

 今回紹介した表現は、「日本語の契約書でもよく登場する表現」にスポットを当てております。その他英文契約には、「日本語の契約書では、そんな表現使わねえよ」というような独特の表現や言い回しもあって、読んでいると凄い新鮮な気持ちになりますね。面白い表現などがあったら紹介したいと思います。

 ちなみに、英文契約の表現は「慣れ」だと思いますが、機械的に翻訳するのではなく、気になる表現は、先輩や知り合いの弁護士に聞いたり、ネットで調べたりしているうちに、「へぇ~そういう背景があったんだ」という驚きとともに、頭に定着しやすくなるんじゃなかなーと思っています。