とある法務部員の備忘録

IT企業で法務をやっている独身アラサー。法務系のネタ、英語、雑記、ブログ運営などについて自由気ままに書き綴っています。

書籍レビュー(7)交渉術に関する書籍のまとめ

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書籍レビュー_交渉術

 交渉術に関する書籍としては、「ハーバード流」とか、弁護士の方が執筆されている本とか、法務・知財パーソンの視点に立ったものとか、本当に色んなものがあります。例えば、以下のようなものです(個人的観点から選出しています)。

 

ハーバード流交渉術 (知的生きかた文庫)

ハーバード流交渉術 (知的生きかた文庫)

  • 作者: ロジャーフィッシャー,ウィリアムユーリー,金山宣夫,浅井和子
  • 出版社/メーカー: 三笠書房
  • 発売日: 1989/12/19
  • メディア: 文庫
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ハーバード×MIT流 世界最強の交渉術---信頼関係を壊さずに最大の成果を得る6原則

ハーバード×MIT流 世界最強の交渉術---信頼関係を壊さずに最大の成果を得る6原則

  • 作者: ローレンス・サスキンド,(ローレンス・E.サスカインド),有賀裕子
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2015/01/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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弁護士に学ぶ!交渉のゴールデンルール

弁護士に学ぶ!交渉のゴールデンルール

 
法務・知財パーソンのための 契約交渉のセオリー 交渉準備から契約終了後までのナレッジ Theory of Contract Negotiation for Legal Dep (ビジネスセオリー 5)

法務・知財パーソンのための 契約交渉のセオリー 交渉準備から契約終了後までのナレッジ Theory of Contract Negotiation for Legal Dep (ビジネスセオリー 5)

  • 作者: 一色正彦,竹下洋史
  • 出版社/メーカー: レクシスネクシス・ジャパン
  • 発売日: 2014/12/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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 当然の如く、それぞれ書いてあることは違います(例外的に、交渉学の第一人者であるロジャー・フィッシャーの考え方は、継承されているかもしれませんが)。

 考えてみれば当然のことで、ビジネスで起こり得る「交渉」とは、M&A交渉、和解交渉、契約交渉など、様々なものがあり、それぞれ登場人物も違うし、立場も違うし、利害状況も違うし、交渉に臨む態度や戦略も異なってきます。

 すると、M&A交渉ばかりやってきた人は、どうしてもM&Aを念頭に置いて交渉術のことを書きますし、弁護士さんだったら、紛争関係にある相手方との交渉を念頭に置いてしまいがちです。

 

 そうしますと、どうしても、「M&Aの場面では有益だけど、それ以外の場面では使えないテクニックだな」とか、そういう痒い部分が出てくるんです。普遍性がないと言いますかね。そのような事情を踏まえ、交渉術・交渉学に関する書籍について、筆者が辿り着いた結論は、

 

  • 最善・最強の1冊というものは存在しない。
  • 読むとしたら、ある特定分野の交渉ノウハウについて書かれたものより、心理学や行動経済学など、人間の行動心理等を考察した普遍的なものを選ぶべき。

 

 というものです。そういった交渉術の基礎的・普遍的な考え方を学んだうえで、日々の経験の中で自分なりのノウハウを構築していけば良いのではないかと。

 

 というか、これまでの人生経験上、人間って、それなりに交渉術を心得ているもんです。それを学術的・専門的に考えたことが少ないだけで。子どもの頃、「親におもちゃを買ってもらうために、どう説得すればいいか?」とか考えませんでした?それも立派な交渉です。ゴリ押しとか泣き落としのような力技も、れっきとした交渉力なんですよ。

 私は、極論を言えば、交渉術とは、そういったものの延長線にあって、質的に何かが変わるものでもないし、特別なことでもないと思っています。これらの交渉術を扱っている書籍では、あたかも交渉とは特別な能力であるかのように書かれていますが、これらの書籍を読む意味とは、「我流で身に付けてきた交渉術に、新たな視点・エッセンスを付加すること」だと思っています。

 

敢えて交渉術の書籍を1冊選ぶとすれば

 それでも敢えて、交渉術に関して1冊選ぶとしたら、M&Aのネゴシエーターをされている藤井氏の「プロフェッショナル・ネゴシエーターの頭の中」をオススメします。ハーバード流交渉術も読んでおいて損はないと思いますが、「交渉術に関する書籍を1冊も読んだことがない」という方は、こちらの方が良いのではないかと思います。

 

 断っておきますが、前述のとおり、こちらは「最善・最強の1冊」ではないと思います。内容として、M&Aを念頭に置いていますし(M&A交渉を例として挙げられることが多い)、「交渉に関して自己流の人が多い」と苦言を呈しており、私の考えと合わない部分もあります。それでも、この書籍をオススメできるのには、2つの理由があります。

 

① 弁護士や会計士といった肩書きがない。

 著者である藤井氏は、弁護士や公認会計士といった資格を有していません。「じゃあ、あまり説得力がないのでは?」と思うかもしれませんが、そういった資格・権威を持っていないにもかかわらず、同氏は、多数のM&A成約実績を有しており、他のお偉いさんの書籍にありがちな「肩書きや権威のおかげでしょ?」といった変なバイアスがかからないのです。

 つまり、権威を盾にせず、「交渉スキル一本」で、ビジネスの荒波を生き抜いてきた人の意見・ノウハウとして、非常に説得力があるように感じます。

 

② 応用の効く交渉術を取り上げている(普遍性)。

 本著では、なるべくありとあらゆる交渉場面でも応用できるノウハウに焦点を絞っており、先に述べたような交渉術の普遍性のようなものを感じます。「good cop / bad cop(良い警官・悪い警官)」の心理戦術を、交渉にも活かすというのはまさにその最たる例ですね。

 また、書かれていることも難解な内容ではなく、1日で読み終わるぐらいの量です。個人的には、交渉術はこのぐらいで良いと思います。読み終わったあと、すぐに「じゃあ、日々の業務でも活用してみよう」となるので。

 逆に、難しいことばかり書かれてあって、「結局のところ、交渉術って何なの?」と、はてなマークばかりがつく書籍は、実用書とは呼べません。

 

結びに(交渉術を学ぶメリット)

 就職・転職活動における面接、給与交渉、買い物の際の値下げ交渉、恋人や結婚相手との間の喧嘩など、実は、私たちの生活は交渉で溢れています。

 1人として、同じ考えの人間はいないわけで、そのような相違性を乗り越え、人間関係を良好な方向に調整することが、交渉のもつ目的のひとつなのだとすれば、交渉術とは、およそ他人と関わりを持つ全ての人が習得すべきスキルだと思うのです。

 もし、興味がございましたら、上で挙げた書籍について是非目を通してみてください~♬