とある法務部員の備忘録

IT企業で法務をやっている独身アラサー。法務系のネタ、英語、雑記、ブログ運営などについて自由気ままに書き綴っています。

ネット上でのリーガル・リサーチについて(前編)

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リーガルリサーチ_インターネット

 例えば、あなたが「アフィリエイトブログをやりたいけど、法的にアウトなものを知りたい」と思ったとします。そしたらアフィリエイトサイト運営をめぐる法規制について調べますよね?

 弁護士などの法律の専門家であれば、法令・裁判例データベース(判例秘書など)や専門文献を使って調べるんですが(これを「リーガル・リサーチ」と呼びます)、一般ユーザーの方がそこまで調べることは稀かと思います。通常はネット検索が多いと思いんじゃないでしょうか。

 

 他の誰かがまとめた記事とか、弁護士ドットコムで似たような質問を探し、弁護士の回答を参照するとか。ネット上には、専門的な文献が落ちていることもあり、時として非常に便利です。

 しかし、利便性の反面、無責任な記事も多く出回っており、その情報の質に疑問を感じることがあります。使い古されたネットリテラシーの問題として、情報の取捨選択がネットユーザーにとって永遠の課題だというのは、こういう情報を見ていても分かります。

 

 法務部のリーガル・リサーチにおいても、ネット検索を行わないわけじゃないです。ただ、議論のテーブルに挙げてはいけない・参照してはいけない情報の基準があったりして、ネット上の情報の真偽、信用性、正確性などは厳しい目で見られます。以下、その例です。

 

① 出所や執筆者が不明なもの

 これは当たり前ですね。

 誰が書いたものか分からないもの、どの文献から引用されたものなのか分からないものは、その内容の真偽以前に、文書の責任主体が不明確ということで議論のテーブルに乗せることも、参照することも許されません。そんな情報を持ってきたら、ぶっ飛ばされます…(;^ω^)アハハ

 例えば、2ちゃんねるなどの掲示板の書き込み、匿名の個人が運営しているブログ(もちろん当ブログも!笑)など。大手ニュースメディアの記事であっても、執筆者(記者名)が分からないものは懐疑の目で見られます。

 

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② 根拠となる条文、判例、文献等に言及していないもの

 法的見解を述べる際、その根拠となる法令の条文や判例、文献等を挙げていないものは、単なる主観なのか、客観的根拠に基づくものなのかが分からず、情報の真偽性を審査出来ないとして排斥されます。

 

SmartNewsは違法アプリ? ニュースアプリの仕様と著作権の関係(執筆:@tokikawase) | あいふぉんスマート

http://iphone.oshiete-kun.net/2013/09/5716.html

 

 例えば、こちらの記事(少し前のものです)。河瀬さんという方が、SmartNewsの違法性について論じたものですが、この記事の中で次のような言及があります。

まず自前サーバー上で記事をまとめ、まとめられたデータをアプリがダウンロードする、という仕組みだと、自前サーバーによる記事取得(ダウンロード)や、アプリに対する配信が違法になってしまう。

(中略)

とはいえ、上記原則には例外がある。「自前サーバー」が「キャッシュサーバー」か「検索エンジン」だと認められれば合法なのだ。

 

 おそらく、一般ユーザー向けに書かれたものなので、条文を挙げなかったのだと思いますが、前段部分は、複製権・公衆送信権の侵害の一般論を述べるものとして分かります。

 しかし、後段の「「自前サーバー」が「キャッシュサーバー」か「検索エンジン」だと認められれば合法なのだ」という主張については、根拠が分からず、著作権法(たぶん第47条の5と第47条の6のことを指していると思うが…)に基づく法文上の論理的帰結を示すものなのか、類似事案を取り扱った裁判例がそのように述べたのか、何かの文献にそのような記述があるのか、それとも河瀬さん個人の意見なのかが不明であり、真偽性を確認しようにもソースが不十分すぎて、議論のテーブルには乗らないのです。

 

③ その他

 あとは、他文献との照合・比較、発表の時期(あまりにも古い情報ではないか、法改正前の情報ではないか…など)などを基準にしながら、情報の取捨選択を行います。こういった基準をくぐり抜けた情報だけが、「最低限の信用性を備えている情報」として、議論のテーブルに乗ったり、参照されたりします。

 

どこまでネット上の情報を信用すべきか?

 とはいえ、そこまで情報の信用性を吟味している暇がない…という方がほとんどだと思います。私も、個人的なリーガル・リサーチの際、ひとつひとつの情報について、執筆者や出典元、言及されている法令、裁判例、文献等を全てチェックしているわけではありません。

 この点については、次回色々書いてみたいと思います。