とある法務部員の備忘録

IT企業で法務をやっている独身アラサー。法務系のネタ、英語、雑記、ブログ運営などについて自由気ままに書き綴っています。

リーガルテックの目指す未来と法務担当者の使命

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リーガルテック

 「リーガルテック」という言葉を聞くようになって久しいですね。

 (たぶん)最初は、クラウドサインが先駆けだったと思います。その後、Bizer、Gozal、SHARESなどのクラウドサービスが普及し、デジタルフォレンジックが国際的な潮流を受けて日本に流入するなど、日本の弁護士業界や法務界隈も随分変わったと思います。少なくとも、この2年ぐらいで、クラウドサインの数は間違いなく増えましたね。

 

 これについてまず思うのは、海外と日本の温度差。徐々に埋まっていると思いますが、日本はリーガルテックの分野の報道や情報が圧倒的に少ないように思います。海外のニュースを見ていると、「こんな技術が出てきたよ~」「さあ、あなたも業務効率化を!」みたいな記事がわんさかある。例えばこういうの。

lawyerist.com

 

 アメリカでは、従来の法律業務(事案に即した法令・判例の検索、契約書のドラフティング、交渉など)がビジネスのボトルネックになっているという現状をちゃんと認識していて、この一連のプロセスをAIに委ねようとする動きが顕著です。効率化できた分を他のことに注力できるように業界全体が動いていて、AIがカバーする領域と人間がカバーする領域との棲み分けを、法律分野と技術分野との折衝の中で常に模索しています。

 

日本の法務業務には「ムダ」が溢れている。

 今、法務が分掌している業務をざっと見渡すだけでも、圧倒的に「ムダ」が多い。

 例えば、未だに契約交渉はWordファイルの交換で行っているし、契約締結は紙ベースです。情報管理リスクを懸念して、チャットツールが制限されることもあるし、クラウドサービスの利用も無制限ではありません。商談がLINEでも成立する時代に、「ドキュメントエビデンスを!」なんて言ってるのは滑稽にも思えます。

 

jp.techcrunch.com

 上記は契約管理に関するものですが、こういったAI技術の先鋭化は、たぶん法務の役割をごくごく限られたものへと追いやることになりますが、日本の法務業務は、業務効率化のスタートラインにすら立っていないと思います。

 そういう現状に鑑みますと、今後法務が取り組んでいかなければならない課題として、「hedge against a risk」だけでなく、「hedge against a waste」も含まれ、法務が積極的に自らの環境を変えていかなければ、時代に取り残されていく予感がしますね。

 

リーガルテックのその先にあるもの。

 先日開催された「法務&知財系ライトニングトーク2017」で基調ライトニングトークを行った株式会社Toreruの宮崎 超史さんの次の言葉が印象的です。

弊社が目指すリーガルテックが実現された世界は「法律を意識することなしに、法的リスクを排除できる世界」です。法律に時間や費用が取られることによって、本来企業が行うべき開発やマーケティングが行えなくなります。 もっと本業に集中できる世界。それがリーガルテックの実現された世界だと思います。

引用元:https://business.bengo4.com/category3/article257

 

 これを聞くと、法務担当者は戦慄を覚えるんですけど、究極的に行き着く先はそうなんだろうなと思います。上記宮崎さんの目指す世界は極論ですが、もしリーガルテックの目指す先がそこにあるのだとすれば、法務担当者は、自らの身を滅ぼすために、リーガルテックを学び、導入するという関係図にもなるでしょう。

 これも極論ですし、法務領域とテクノロジー領域の共生を目指すことが最初に来ると思いますが。